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それは大きな鋼鉄のパレットで ぼくたちは堅くて大きな箱や物を そのパレットの中にいくつも積んでいった 男も女も作業していた みんな無言でもくもくと その力の大小で自ずと役割は分担され ぼくは比較的重い物をパレットに載せる役目になった 左胸が痛む 呼吸があらくなる 載せる荷物はどんどん重くなる しだいに汗がしたたり顔面が青白くなる それでも荷物はどんどんあふれ ぼくは荷物のなかに溺れた深海魚となる 彼女は必死でフォローしてくれた ぼくの頼りない作業ぶりを まるで補うように次々と荷物を搭載してゆく それは腕の力でなく足腰を中心とした全身の力の調和 一流の交響楽団の演奏のようにこころを豊かにする ぼくはまるで助手のように彼女の横で作業をつづけた 最後の発着場までのパレットの移動作業が始まった ふつうはすぐ目の前にあるはずなのに どんな事情があるのか 500メートルも離れた場所にある ぼくはひたすらパレットを押しながら 足が腰が悲鳴をあげる声を聞いていた もうだめだと思うと 彼女がパレットの先導についてくれて なにごともなくパレットは目的の場所に向かう 夕陽を浴びたパレットはまるでぼくの感謝の気持ちをあらわしているかのようだった 発着場所に着き ナンバープレートを確認する まちがいない ほっとしてまわりを見ると 彼女どころかだれもいない もうみんな次のパレットの用意をしているのだろう この作業場はなんて広く薄暗いのだろう もう日も落ちようとしているのに 灯りのひとつも見えやしない そのときおそろしい勢いで運ばれてきたパレットに 思いきり衝突して ぼくはコンクリートの作業場に 壊れた人形のように放り出された 今でもあの時の傷が額に残っている あれからぼくは引きこもるようになっていた |
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